関西部会
異文化経営学会 第9回関西部会(2019年度第1回)研究会のご報告
2019/10/16
理事・関西部会長 古沢 昌之(近畿大学)
2019年9月28日(土)、近畿大学(大阪府東大阪市)にて、第9回関西部会が開催された。ご多忙中にもかかわらずご参加いただいた会員の皆様に対し、心より御礼申し上げる次第である。以下、詳細については、奈良県立大学・山部洋幸先生の寄稿文をご一読願いたい。なお、関西部会の本年度第2回研究会は2020年2月頃開催予定である。
<報告と所感>山部洋幸(奈良県立大学地域創造学部准教授)
2019年9月28日(土)、異文化経営学会第9回関西部会が近畿大学で開催された。今回の参加申込者は34名に達し、関西部会の過去最多となった。また、関西圏に限らず東京、名古屋、山口、広島など日本各地から会員が集った。
研究会は津田優子先生(ECCジュニア)に総合司会をお務めいただいた。本学会理事・関西部会長の古沢昌之先生(近畿大学)の開会挨拶の後、第1報告として、流通科学大学の辻周吾先生から「日本企業における中国人社員の異文化間コミュニケーション摩擦の実態調査―中国人社員へのインタビュー調査から―」と題したご発表があった。同報告では、日本企業で働く中国人社員へのインタビュー調査を通して、彼(彼女)らの日本的経営慣行に対する受容性などが論じられた。コメンテーターの有村貞則先生(山口大学)からは研究の問題意識に関する質問と助言があった。また、フロアからは「同じ質問を日本人社員にも尋ねてみては」「中国人社員の日本人上司へもヒアリングすべき」といったコメントが出され、活発な議論となった。
第2報告では、関西学院大学の藤澤武史先生(本学会理事)から「世界消費におけるカルチャーフリー製品とカルチャーバウンド製品の区別と消費額の決定因」のテーマでご発表いただいた。同報告では、文化の影響を受ける製品と影響を受けない製品の区別について、Euromonitor Passportのデータをもとに、統計的な手法を用いて分析がなされた。コメンテーターの田端昌平先生(近畿大学)からは分析結果の解釈に関する質問があり、今後の研究の発展を感じさせる深い議論が繰り広げられた。
続いて、本部会の初の試みとして、「産業界・ビジネスパーソンから見た大学―運営・経営、教育、研究、学生―」をテーマに、座談会が開催された。実務家として大学の運営や教育に携わっておられる辻本健二先生(関西生産性本部)、山澤登先生(大阪商業大学)、山本明男先生(明治大学)が意見発表者、古沢部会長が司会・コーディネーターを務められ、フロアとの意見交換がなされた。特に、フロアの関心が強かったテーマは学生の教育に関するもので、学生の内向き志向や語学教育のあり方について議論が白熱した。海外への関心については、少子高齢化、国内市場の縮小、日本企業の海外進出という状況があるにも関わらず、実務家教員が自身の経験を交えながら話しても学生は関心を示さないといった実体験が語られた。また、語学教育に関しては、英語力・コミュニケーション能力の向上に向けた各大学の取り組みが紹介された。これら2つの課題とも海外体験など学生自身の環境を変えることが有効な手段の1つであるように感じられた。
最後に、本学会の馬越恵美子会長(桜美林大学)から総括コメントがあり、「研究者と実務家のコラボレーションがこの学会の特徴」「利益と直接の結びつきがないので自由な発想ができる点が学会の強み」というお言葉が強く印象に残った。学会には新たな知を創造する場としての社会的機能があると思うが、会長のお言葉は研究者と実務家の知識創造の場として機能する本学会を体現していると言えよう。
研究会終了後は、ラーニングコモンズ、CNNカフェ、マンガ2万冊を所蔵する図書館などを擁する近畿大学の「アカデミック・シアター」の見学を経て、同大学内の「The Lounge」にて懇親会が開催された。懇親会は新入会員の紹介の後、安室憲一先生(大阪商業大学・兵庫県立大学、本学会理事)の乾杯のご発声で開宴した。立食パーティ形式で近大マグロも供される中、交流の輪が広がった。そして、最後は村田敏也先生(リロ・パナソニックエクセルインターナショナル)のご挨拶があり、和やかなムードの中、閉会となった。
と き 2019年9月28日(土) 13:30〜19:30
ところ 近畿大学 21号館(経営学部) 5F「539教室」
内 容
<総合司会 ECCジュニア 津田 優子 氏>
・テーマ 「日本企業における中国人社員の異文化間コミュニケーション摩擦の実態調査―中国人社員へのインタビュー調査から―」
・司会・コメンテーター 山口大学 有村 貞則 氏
・テーマ 「世界消費におけるカルチャーフリー製品とカルチャーバウンド製品の区別と消費額の決定因」
・司会・コメンテーター 近畿大学 田端 昌平 氏
・意見発表(各10分)
(公財)関西生産性本部 辻本 健二 氏
大阪商業大学 山澤 登 氏
明治大学 山本 明男 氏
・フロアとの意見交換、経験交流
・司会・コーディネーター 近畿大学 古沢 昌之 氏(本学会理事・関西部会長)
※ラーニングコモンズ、CNNカフェ、マンガ2万冊を所蔵する図書館など
2019年9月28日(土)、近畿大学(大阪府東大阪市)にて、第9回関西部会が開催された。ご多忙中にもかかわらずご参加いただいた会員の皆様に対し、心より御礼申し上げる次第である。以下、詳細については、奈良県立大学・山部洋幸先生の寄稿文をご一読願いたい。なお、関西部会の本年度第2回研究会は2020年2月頃開催予定である。
<報告と所感>山部洋幸(奈良県立大学地域創造学部准教授)
2019年9月28日(土)、異文化経営学会第9回関西部会が近畿大学で開催された。今回の参加申込者は34名に達し、関西部会の過去最多となった。また、関西圏に限らず東京、名古屋、山口、広島など日本各地から会員が集った。
研究会は津田優子先生(ECCジュニア)に総合司会をお務めいただいた。本学会理事・関西部会長の古沢昌之先生(近畿大学)の開会挨拶の後、第1報告として、流通科学大学の辻周吾先生から「日本企業における中国人社員の異文化間コミュニケーション摩擦の実態調査―中国人社員へのインタビュー調査から―」と題したご発表があった。同報告では、日本企業で働く中国人社員へのインタビュー調査を通して、彼(彼女)らの日本的経営慣行に対する受容性などが論じられた。コメンテーターの有村貞則先生(山口大学)からは研究の問題意識に関する質問と助言があった。また、フロアからは「同じ質問を日本人社員にも尋ねてみては」「中国人社員の日本人上司へもヒアリングすべき」といったコメントが出され、活発な議論となった。
第2報告では、関西学院大学の藤澤武史先生(本学会理事)から「世界消費におけるカルチャーフリー製品とカルチャーバウンド製品の区別と消費額の決定因」のテーマでご発表いただいた。同報告では、文化の影響を受ける製品と影響を受けない製品の区別について、Euromonitor Passportのデータをもとに、統計的な手法を用いて分析がなされた。コメンテーターの田端昌平先生(近畿大学)からは分析結果の解釈に関する質問があり、今後の研究の発展を感じさせる深い議論が繰り広げられた。
続いて、本部会の初の試みとして、「産業界・ビジネスパーソンから見た大学―運営・経営、教育、研究、学生―」をテーマに、座談会が開催された。実務家として大学の運営や教育に携わっておられる辻本健二先生(関西生産性本部)、山澤登先生(大阪商業大学)、山本明男先生(明治大学)が意見発表者、古沢部会長が司会・コーディネーターを務められ、フロアとの意見交換がなされた。特に、フロアの関心が強かったテーマは学生の教育に関するもので、学生の内向き志向や語学教育のあり方について議論が白熱した。海外への関心については、少子高齢化、国内市場の縮小、日本企業の海外進出という状況があるにも関わらず、実務家教員が自身の経験を交えながら話しても学生は関心を示さないといった実体験が語られた。また、語学教育に関しては、英語力・コミュニケーション能力の向上に向けた各大学の取り組みが紹介された。これら2つの課題とも海外体験など学生自身の環境を変えることが有効な手段の1つであるように感じられた。
最後に、本学会の馬越恵美子会長(桜美林大学)から総括コメントがあり、「研究者と実務家のコラボレーションがこの学会の特徴」「利益と直接の結びつきがないので自由な発想ができる点が学会の強み」というお言葉が強く印象に残った。学会には新たな知を創造する場としての社会的機能があると思うが、会長のお言葉は研究者と実務家の知識創造の場として機能する本学会を体現していると言えよう。
研究会終了後は、ラーニングコモンズ、CNNカフェ、マンガ2万冊を所蔵する図書館などを擁する近畿大学の「アカデミック・シアター」の見学を経て、同大学内の「The Lounge」にて懇親会が開催された。懇親会は新入会員の紹介の後、安室憲一先生(大阪商業大学・兵庫県立大学、本学会理事)の乾杯のご発声で開宴した。立食パーティ形式で近大マグロも供される中、交流の輪が広がった。そして、最後は村田敏也先生(リロ・パナソニックエクセルインターナショナル)のご挨拶があり、和やかなムードの中、閉会となった。
と き 2019年9月28日(土) 13:30〜19:30
ところ 近畿大学 21号館(経営学部) 5F「539教室」
内 容
<総合司会 ECCジュニア 津田 優子 氏>
1. 開会挨拶 13:30〜13:35 近畿大学 古沢 昌之 氏(本学会理事・関西部会長)
2. 研究報告① 13:35〜14:35(報告=30分、コメント=5分、コメントへの応答=5分、全体質疑応答=20分)
・報告者 流通科学大学 辻 周吾 氏・テーマ 「日本企業における中国人社員の異文化間コミュニケーション摩擦の実態調査―中国人社員へのインタビュー調査から―」
・司会・コメンテーター 山口大学 有村 貞則 氏
=休憩(14:35-14:45)=
3. 研究報告② 14:45〜15:45(報告=30分、コメント=5分、コメントへの応答=5分、全体質疑応答=20分)
・報告者 関西学院大学 藤澤 武史 氏(本学会理事)・テーマ 「世界消費におけるカルチャーフリー製品とカルチャーバウンド製品の区別と消費額の決定因」
・司会・コメンテーター 近畿大学 田端 昌平 氏
=休憩(15:45-15:55)=
4. 座談会 15:55〜17:05
・テーマ「産業界・ビジネスパーソンから見た大学―運営・経営、教育、研究、学生―」・意見発表(各10分)
(公財)関西生産性本部 辻本 健二 氏
大阪商業大学 山澤 登 氏
明治大学 山本 明男 氏
・フロアとの意見交換、経験交流
・司会・コーディネーター 近畿大学 古沢 昌之 氏(本学会理事・関西部会長)
5. 総括コメント 17:05〜17:10
・桜美林大学 馬越 恵美子 氏(本学会会長)6. 施設見学 17:20-17:50
・近畿大学「アカデミック・シアター」※ラーニングコモンズ、CNNカフェ、マンガ2万冊を所蔵する図書館など