関西部会
異文化経営学会 第12回関西部会のご報告
2021/02/27
理事・関西部会長 古沢 昌之(近畿大学)
2021年2月27日(土)、異文化経営学会第12回関西部会が開催された。前回・前々回に続く3回目のオンラインによる実施であったが、参加者は北海道から九州、さらには海外まで50名を数え、関西部会としての過去最高を更新した。ご多忙中ご出席を賜った皆様に厚く御礼申し上げる次第である。
以下、詳細については、リロ・パナソニックエクセルインターナショナル株式会社顧問・中村好伸先生(本学会監事)のご寄稿文をご一読願いたい。
<報告と所感>
中村 好伸・(リロ・パナソニックエクセルインターナショナル株式会社顧問・本学会監事)
去る2021年2月27日(土)、第12回関西部会が兵庫県立大学・永里賢治先生の総合司会により、オンライン(Zoom)で開催された。
当日は、大阪商業大学の崔圭皓先生の昨年の回顧と「コロナ禍が早く収束することを信じている」との開会挨拶の後、研究報告①として関西部会長でもある近畿大学・古沢昌之先生から「コロナ禍が日本企業の国際経営に与えた影響に関する研究―M-GTAによる一時帰国駐在員へのヒアリング調査分析―」をテーマに報告が行われた。
新型コロナウイルス問題が日本企業の海外現地経営に及ぼしたインパクトについて、海外関係会社として10ヶ国・地域に17社を展開する多国籍企業A社(製造業)の事例研究を通して考察した。具体的には、コロナ禍で一時帰国したA社の駐在員に対して実施したヒアリング調査に基づき、駐在員が直面した困難・不安やマネジメント上の諸問題、対処方策、さらにはインフォーマントが感じた自社に求められる変革等を明らかにするとともに、①海外子会社のコントロール様式としての「公式化」の強化、②「内なる国際化」の必要性、③「駐在員育成施策」の改革、④国際人的資源管理における「現地適応」と「グローバル統合」の両立など、日本企業の今後の国際経営のあり方に関するインプリケーションを抽出された。
これに対して南山大学・林尚志先生からコロナ禍ゆえにこそ得られた「『突然の現地化』に関する調査結果」を考察し、M-GTAの手法に基づき「設問内容」に関する重要因を体系的に整理するとともに、「“従来の論点”と整合的な内容」が“新たな視点”から改めて確認されたとのコメントがあった。
休憩後 研究報告②として都留文科大学・佐脇英志先生から「異文化経営課題と問題解決―ASEAN日本人起業家―」というテーマで発表が行われた。日本人起業家が海外経営環境で実際に①イノベーション:どのようなイノベーションを起こして、事業を立ち上げているか、②問題解決:その過程においてどのような問題に直面し、どのように問題解決が行われているか、③起業家ネットワーク:問題解決を通じて、どのような学び、学習を行っているかについて実際に足で稼いだ調査研究の発表で興味深い内容であった。特に、実際の異文化経営の失敗事例は限定的で、110名のインタビューで17名の回答しか得られないなど厳しい状況の中での研究成果として、ASEAN日本人起業家は華僑のような人材で 失敗の原因は異文化経営課題が大きな問題であり、特に異文化下でのガバナンスの強化の面でサポートが必要とのことであった。
コメンテーターの関西学院大学・藤澤武史先生からも “ASEAN日本人起業家は新しい生態系の生物”という新発見があったという素晴らしいコメントがあった。
両研究報告についてフロアからも活発な意見が出されて議論が盛り上がった。最後に馬越恵美子・会長からも二つの研究報告がかみ合った素晴らしい構成の研究会であったとの総括コメントを頂いて終了した。
研究会終了後 関西部会長の古沢先生から異文化経営学会「国際人的資源管理部会」設立の提案があり、多くの賛同意見が出されて 次回理事会に提案することで承認を得て閉会した。
と き 2021年2月27日(土)14:00〜16:40 ※Zoomによる開催
内 容
<総合司会> 兵庫県立大学・永里賢治氏
「コロナ禍が日本企業の国際経営に与えた影響に関する研究―M-GTAによる一時帰国駐在員へのヒアリング調査分析―」
・司会・コメンテーター 南山大学・林尚志氏
「異文化経営課題と問題解決―ASEAN日本人起業家―」
・司会・コメンテーター 関西学院大学・藤澤武史氏(本学会理事)
以上
2021年2月27日(土)、異文化経営学会第12回関西部会が開催された。前回・前々回に続く3回目のオンラインによる実施であったが、参加者は北海道から九州、さらには海外まで50名を数え、関西部会としての過去最高を更新した。ご多忙中ご出席を賜った皆様に厚く御礼申し上げる次第である。
以下、詳細については、リロ・パナソニックエクセルインターナショナル株式会社顧問・中村好伸先生(本学会監事)のご寄稿文をご一読願いたい。
<報告と所感>
中村 好伸・(リロ・パナソニックエクセルインターナショナル株式会社顧問・本学会監事)
去る2021年2月27日(土)、第12回関西部会が兵庫県立大学・永里賢治先生の総合司会により、オンライン(Zoom)で開催された。
当日は、大阪商業大学の崔圭皓先生の昨年の回顧と「コロナ禍が早く収束することを信じている」との開会挨拶の後、研究報告①として関西部会長でもある近畿大学・古沢昌之先生から「コロナ禍が日本企業の国際経営に与えた影響に関する研究―M-GTAによる一時帰国駐在員へのヒアリング調査分析―」をテーマに報告が行われた。
新型コロナウイルス問題が日本企業の海外現地経営に及ぼしたインパクトについて、海外関係会社として10ヶ国・地域に17社を展開する多国籍企業A社(製造業)の事例研究を通して考察した。具体的には、コロナ禍で一時帰国したA社の駐在員に対して実施したヒアリング調査に基づき、駐在員が直面した困難・不安やマネジメント上の諸問題、対処方策、さらにはインフォーマントが感じた自社に求められる変革等を明らかにするとともに、①海外子会社のコントロール様式としての「公式化」の強化、②「内なる国際化」の必要性、③「駐在員育成施策」の改革、④国際人的資源管理における「現地適応」と「グローバル統合」の両立など、日本企業の今後の国際経営のあり方に関するインプリケーションを抽出された。
これに対して南山大学・林尚志先生からコロナ禍ゆえにこそ得られた「『突然の現地化』に関する調査結果」を考察し、M-GTAの手法に基づき「設問内容」に関する重要因を体系的に整理するとともに、「“従来の論点”と整合的な内容」が“新たな視点”から改めて確認されたとのコメントがあった。
休憩後 研究報告②として都留文科大学・佐脇英志先生から「異文化経営課題と問題解決―ASEAN日本人起業家―」というテーマで発表が行われた。日本人起業家が海外経営環境で実際に①イノベーション:どのようなイノベーションを起こして、事業を立ち上げているか、②問題解決:その過程においてどのような問題に直面し、どのように問題解決が行われているか、③起業家ネットワーク:問題解決を通じて、どのような学び、学習を行っているかについて実際に足で稼いだ調査研究の発表で興味深い内容であった。特に、実際の異文化経営の失敗事例は限定的で、110名のインタビューで17名の回答しか得られないなど厳しい状況の中での研究成果として、ASEAN日本人起業家は華僑のような人材で 失敗の原因は異文化経営課題が大きな問題であり、特に異文化下でのガバナンスの強化の面でサポートが必要とのことであった。
コメンテーターの関西学院大学・藤澤武史先生からも “ASEAN日本人起業家は新しい生態系の生物”という新発見があったという素晴らしいコメントがあった。
両研究報告についてフロアからも活発な意見が出されて議論が盛り上がった。最後に馬越恵美子・会長からも二つの研究報告がかみ合った素晴らしい構成の研究会であったとの総括コメントを頂いて終了した。
研究会終了後 関西部会長の古沢先生から異文化経営学会「国際人的資源管理部会」設立の提案があり、多くの賛同意見が出されて 次回理事会に提案することで承認を得て閉会した。
と き 2021年2月27日(土)14:00〜16:40 ※Zoomによる開催
内 容
<総合司会> 兵庫県立大学・永里賢治氏
【開会挨拶】14:00〜14:05 大阪商業大学・崔圭皓氏(本学会幹事)
【研究報告①】14:05〜15:05(報告=30分、コメント=5分、コメントへの応答=5分、全体質疑応答=20分)
・報告者 近畿大学・古沢昌之氏(本学会理事・関西部会長)「コロナ禍が日本企業の国際経営に与えた影響に関する研究―M-GTAによる一時帰国駐在員へのヒアリング調査分析―」
・司会・コメンテーター 南山大学・林尚志氏
=休憩(15:05-15:15)=
【研究報告②】15:15〜16:15(報告=30分、コメント=5分、コメントへの応答=5分、全体質疑応答=20分)
・報告者 都留文科大学・佐脇英志氏(本学会理事)「異文化経営課題と問題解決―ASEAN日本人起業家―」
・司会・コメンテーター 関西学院大学・藤澤武史氏(本学会理事)
【総括コメント】(16:15〜16:20)
・桜美林大学・馬越恵美子氏(本学会会長)【諸連絡】(16:20〜16:40)
・ 今後の活動等について以上