関西部会
異文化経営学会 第13回関西部会のご報告
理事・関西部会長 古沢 昌之(近畿大学)
2021年9月25日(土)、異文化経営学会第13回関西部会が36名の参加者を得てオンラインで開催された。ご多忙中ご出席を賜った皆様に厚く御礼申し上げる次第である。
以下、詳細については、大阪商業大学の崔圭皓先生(本学会幹事)のご寄稿文をご一読願いたい。
<報告と所感> 崔圭皓(大阪商業大学、本学会幹事)
第13回関西部会が9月25日(土)多数の会員の参加のもとオンラインで開催された。総合司会は奈良県立大学の山部洋幸先生が担当し、2件の研究報告とその後の意見交換が行われた。
まず、第1報告は近畿大学の古沢昌之先生より「わが国企業の『外国人留学生』に対する採用活動に関する研究―企業へのアンケート調査に基づいて―」をテーマに行われた(コメンテーターは宇都宮大学・鄭安君先生)。調査は氏が上席研究員を務める一般財団法人アジア太平洋研究所が主催となり、東証1部上場企業2,161社を対象に実施したものである。コロナ禍のなか、有効回収率=9.1%(回答数196社)は高い数値ではないものの、貴重なインプリケーションが提示された。例えば、多数の日本企業は、留学生の採用に当たって特別な配慮や取り組みをしていないこと、業種別では海外展開が進んでいる製造業の方が留学生を採用している企業が多いことなどである。そして、日本企業が求めているのは、異文化シナジーではなく、高い日本語能力に基づく組織内コミュニケーション能力であること、つまり日本企業のインクルージョンの弱さが調査から明らかになったと言えよう。
続く第2報告は大阪商業大学の梅野巨利先生から「インド・ケララ州企業のCSR活動」をテーマに発表がなされた(コメンテーターは東京国際大学・櫻井功男先生)。発表は氏の著書『インド企業のCSR』(2021年3月、御茶の水書房)をベースに、そのなかに収録されているケーススタディを中心としたものである。インドでは2013年の会社法の改正により、一定企業(外資系企業を含む)にCSR活動の義務化・法制化が明記された。本報告では法改正の背景を踏まえ、その後におけるインド企業のCSR活動にフォーカスが当てられた。インドではかねてより貧困者の救済、地域社会への貢献など企業側の社会貢献意識はあったものの、法的整備によって変わっていく企業の様子を明らかにしている点に注目したい。インド企業の研究が乏しいなか、丹念に現地調査を積み上げ、着実に進化している開発途上国インドでの昨今の企業CSR活動報告には目から鱗が落ちた次第である。
その後、2つの研究報告に対し、本学会会長の馬越恵美子先生(桜美林大学)から総括のコメントを賜った。
研究会終了後は、早稲田大学の池上重輔先生の進行で、若手研究者(ヤング&ヤング・アット・ハート)育成への助言及びリサーチ方法論に関する参加者同士の意見交換が行われた。研究テーマの設定やデータの収集、定量・定性分析の精緻化に向け、会員間の情報交換および共有など今後検討を重ねていくこととなった。
Zoomによるオンライン開催という制約のある環境の中でも会員同士の真剣な議論が繰り広げられた有意義な時間であった。最後に、11月20日の2021年度第2回研究大会、12月18日の第1回国際人的資源管理(IHRM)部会(いずれもZoom開催)で皆様とお会いすることがお楽しみである。
1. と き 2021年9月25日(土)14:00〜16:45 ※Zoomによる開催
2. 内 容
<総合司会> 奈良県立大学・山部 洋幸 氏
【開会挨拶】14:00〜14:05
・リロエクセル・村田 敏也 氏(本学会幹事)【研究報告①】14:05〜15:05(報告=30分、コメント=5分、コメントへの応答=5分、全体質疑応答=20分)
・報告者 近畿大学・古沢 昌之 氏(本学会理事・関西部会長)「わが国企業の『外国人留学生』に対する採用活動に関する研究―企業へのアンケート調査に基づいて―」
・司会・コメンテーター 宇都宮大学・鄭 安君 氏
=休憩(15:05-15:15)=
【研究報告②】15:15〜16:15(報告=30分、コメント=5分、コメントへの応答=5分、全体質疑応答=20分)
・報告者 大阪商業大学・梅野 巨利 氏「インド・ケララ州企業のCSR活動」
・司会・コメンテーター 東京国際大学・櫻井 功男 氏(本学会理事)
【総括コメント】16:15〜16:20
・桜美林大学・馬越 恵美子 氏(本学会会長)【諸連絡、意見交換】16:20〜16:45
・ 今後の活動等について以上